めぐる

お星に似せた目に映る
僕らの星を見た人がいた
鳥より高く飛んで移る
先には彼を待つ人がいた
そんな話を僕は聞く

古いお星に乗っていた
やさしい目をした彼がいた
星より早く飛んでった
あの子はきらきら埃になった
そんな話を僕が聞く

何くれとなくいろいろの
手間を惜しめるようにした
何くれとなくいろいろの
段を飛ぶようこしらえた
そんな話が僕に聞く

たくさんの電波塔が
なんでもない声をのせて発信
今日もどこかの誰かへと
なんでもない声をのせて発信

もしそれが箱だったとしてどうした
さて幸いは君さがせ
今日も青星は
僕を微動だにさせないで回る

水玉

右向きに回るウォーターボール
朝を万遍なく回す
一日知らせるウォーターボール
夜が来ました摩天楼

世界の果てはウォーターフォール
と信じてた人と何が変わった
ここいら大体ウォーターゾーン
浮かぶ僕らの蜃気楼

傾げて回るウォーターボール
傘を万遍なく回す
一年転がすウォーターボール
生き残ります合点承

近層間

安穏は怠惰にのさばり
閉塞を首に巻いた人が
吊し場所を求めている
足取りは鈍行

僕はしらけながら
グエグエえづきながら
当座の十年は見繕って
おとなしく息をしてます

ベルトコンベヤーの
しがない一点間です


剣呑な不穏がしみだし
久々に喫んだ薬みたく
正しいよう上せている
足止めが急行

僕ら言われた通りに
居ろとされ行けとされ
壁の中で徒労するのを
指折り数えています

ベルトコンベヤーで
さかしいコントおどける


反問は無用と
教えられた人らと僕ら
箱舟流しに負けそう
足元から濁流

僕はかじかんだり
いがんだり蹴躓いても
そんでもなんとなしに
今日は寝るのです

ベルトコンベヤーの
先など見えないままで

無題

僕がいるけれど僕はなんだろう
ここにいるけれどここはなんだろう
息をしてるけど僕はなんだろう
この手紙は君に届いてるかな

みんな全部かきわりに見える
あやふやな中に僕がいる
文字の羅列だけがここに光る
君のことばだけがほんとうに見える
うそにも見える

みんな似たようなこと話してる
君はここに入れないと言うね
みんな似たような顔してる
僕はだれと似てるのかな

髪をそめて広がって騒ぐ
あの集団は楽しいのかな
髪をのばして息をひそめる
僕たちはここに生きてるはずだ
泣いててごらん

息がとまったら僕はなんになる
見えてる世界はとまると思う
ここに広がる僕らは見てる
いるといないで似たようなもの

君の息がとまったらどうしよう
僕はなんにもないただの直立人間
息がとまった鳥をたべながら
そんなことを考えてしまった

無題

口から煙りが出そうだ
胸の中が痛い
感傷的な意味じゃない
喉の奥がすりきれる

夢見ているし蔑んでいる
甘やかされて息が吸えない
突き放されたら泣きそうになって
飛んで落ちたら死ねると思う

碌に遊んだこともない
泣いてる人を見かけない
テレビは怒鳴るし笑えと責める
似てる子　刃物をふりまわす